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猫の皮下の血管肉腫

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は、猫の皮下の血管肉腫について紹介します。

猫の皮下の血管肉腫は報告がほとんどなく、腫瘍の挙動や化学療法の有効性などは明らかではありませんが、血管肉腫は悪性度が高く、皮膚より内臓でより悪性挙動をとると考えられており、一般的には外科切除、転移や再発抑制のために術後の抗がん剤が治療の選択肢として挙げられます。


ここで症例を紹介します。

症例:マンチカン、10歳、避妊メス、3kg

主訴:鼻の左背側の皮下腫瘤が緩徐に増大


鎮静下で針生検による細胞診とx線検査、血液検査を行いました。

細胞診:主に血液が採取され、間葉系の細胞がわずかに混在

x線検査や血液検査は特に異常が認められず、皮下に限局していました。

仮診断として血腫や血管肉腫(T1N0M0)を視野に、2-3週間経過監察したところやはり増大傾向が認められたため、治療を兼ねた切除生検を行いました。


治療:外科切除

皮下腫瘤はまだ小さかったですが、悪性腫瘍であれば、広範囲な切除が必要となり、増大し続ければ、術後の顔貌が変わってしまうため、早期診断・早期治療を心がけて対応しました。

腫瘤は肉眼上、皮膚や底部組織に癒着は認められず、鼻鏡を残した形で正常組織で包むように辺縁切除しました。


病理組織診断:皮下の血管肉腫(クリアマージン)


血管肉腫は再発や転移が他の腫瘍に比べ起きやすいことから、補助的な化学療法を行いました。

術後の追加治療:ドキソルビシン1mg/kg/3wkごと


術後は顔貌の変化も概ね許容範囲で、合併症もなく元気に過ごせています。

報告が少なく予後は分かりませんが、抗がん剤を続けていき、再発しないようにサポートできればと思います。


以上です。

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