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猫の消化管型リンパ腫と腸重積

  • 執筆者の写真: ハーブ動物病院スタッフ
    ハーブ動物病院スタッフ
  • 2月20日
  • 読了時間: 3分

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は、猫の消化管型リンパ腫と腸重積について症例紹介します。

術中所見を掲載しています。苦手な方はご注意下さい。


症例:猫、mix、6歳、去勢♂、4.9kg

主訴:消化管に腫瘤があり、元気食欲廃絶

腫瘤が腫瘍性か炎症性か診断を進めます


エコー検査:消化管に巨大な腫瘤が形成され、それとは別に腸重積を疑う部位も認められた


血液検査:軽度の貧血と低アルブミン血症(1.7g/dL)が認められた


診断:腸管腫瘍と腸重積

腸重積は腸管の中に腸管が引き込まれ、閉塞してしまった緊急的な状態です。

一刻も早く外科的に治療するべく、飼い主様とご相談の上、外科治療に進みました。


治療:腸管切除(2箇所:腫瘤と重積部位)

定法通り開腹し、腫瘤と重積部分にアプローチしました。

腸重積部位を整復すると、虚血により、既に蠕動運動は見られず、硬固で、黒く変色しており、温存は難しいと判断しました。

腫瘍は盲腸から中心に発生しており、各々血管処理をした上で、腸管切除と吻合をし、リークテストで問題がないことを確認しました。

腸管切除後にできる腸管膜の孔がヘルニア輪にならないように縫合して閉鎖し、腹腔内を生理食塩水で洗浄した上で、定法通り閉腹しました。

術後はフェンタニルテープを含むペインコントロールを入念に行いました。

2箇所の腸管切除と吻合を実施し、癒合不全の因子である低アルブミン血症もあったことから、縫合部離開のリスクがありましたが、特に大きな合併症はありませんでした。


術後病理組織診断:リンパ腫(完全切除)

切除断端には腫瘍組織は認められませんでしたが、肉眼的に漿膜浸潤が認められており、領域リンパ節はすでに軽度に腫大していたため、体内には腫瘍が残存していると考えられました。


治療:術後化学療法(L-CHOP療法)

猫では「VAPC療法」というプロトコルが最も奏功する可能性が示唆されておりますが、この症例は従来のプロトコルを選択しました。

化学療法は有害事象を予防的に対応することが何より重要になりますが、個体差があります。この症例は特に食欲低下などの有害事象は認められず、治療継続中です。


この症例の場合、手術には大きなリスクが伴うため、飼い主様はとても懸念されておりましたが、術後当日から食欲は大きく改善し、表情も柔らかくなりました。

治療するリスクと治療しない場合のリスクを考えるとその差は明らかです。

それだけ腫瘍により起きてしまった腸重積が負担になっていたということであり、手術することによって大きな苦痛を即座に取り除くことができたことは、何よりでした。


今後は、状況の応じて腫瘍学の専門知識を活かしてサポートしていく予定です。


以上です。

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埼玉県川口市のハーブ動物病院

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