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子犬の鎖肛

更新日:2020年10月1日


こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は、子犬の鎖肛について紹介します。

術中写真があります。苦手な方はご注意下さい。


鎖肛とは

生まれつき直腸や肛門が狭窄または閉塞した状態で、♀に多く、発生は稀です。

閉鎖した直腸と尿生殖路(尿道や膣、外陰部皮下など)との間に、「瘻管」という交通路があり、便は尿路から排泄され、鎖肛に気付くことが多いです。

狭窄または閉塞している場所や程度によって、4つの病型に分類されます。


タイプ1:肛門の狭窄のみで、離乳後に排便障害が出て発見されます。治療は狭窄部位のバルーン拡張などがあります。

タイプ2:直腸が肛門の直前で閉鎖している状態です。

タイプ3:タイプ2に比べ、より近位(頭側)で閉鎖した状態です。

タイプ2と3を明確に分類するための基準はありません。

治療法は、「瘻管」を温存した肛門形成術と「瘻管」を閉鎖する肛門形成術があり、「瘻管」の太さや位置などによって決定されます。

タイプ4:直腸の盲端が骨盤腔内で終わるほど近位で閉鎖した状態で、出生後短期間で亡くなる場合が多く、有効な治療法はないか、あっても極めて困難です。

ちなみに、人でも鎖肛はあり、遺伝性はなく、男の子に多く、解剖学的な位置関係により、明確に病型が分類され、病型によって治療方針が決定されているようです。


ここで症例を紹介します。

症例:チワワ、♀、生後1カ月

主訴:肛門が閉じており、便と尿が混じって排泄される


造影x線検査:骨盤腔より尾側まで直腸を認めた


診断:鎖肛 タイプ2もしくは3


治療:瘻管を温存した肛門形成術

慎重に会陰部を切開していくと、直腸が直接膣内に開口していることがわかりました。カテーテルを挿入すると便が付着します。

直腸を丁寧に開口部から切断して分離した後、肛門まで移動し、直腸粘膜を縫合して肛門形成を行い、閉創しました。


この症例の術後は食欲、排便、排尿も問題ないようです。

術後の合併症として、便失禁や術創の感染などがありますが、大きな問題が起きなければ、予後は良好です。


以上、子犬の鎖肛についてでした。


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