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モーズ軟膏

更新日:2023年3月30日

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回はモーズ軟膏(モーズペースト)について紹介します。

モーズ軟膏とは

切除不能の皮膚表層の悪性腫瘍に対して、腫瘍を化学的に変性、凝固させることにより縮小させ、出血・浸出液や悪臭などの症状を緩和し、QOLを向上させる治療法です。

治療には1回あたり数時間を毎週行う必要があり、軟膏を塗布している間は刺激による疼痛もあるため、デメリットもあります。


ここで、症例を紹介します。

症例:トイプードル、19歳、未去勢♂

主訴:肛門周りの自壊した腫瘍を治療したい

この病気は未去勢、性ホルモンに影響を受けて発生する肛門周囲腺腫という良性腫瘍です。

本来は小さな状態で外科切除し、同時に去勢手術を行うことによって治療しますが、その治療を選択をされないと時間と共に増大、悪化していってしまいます。

この症例は以前他院でモーズ軟膏やフラジール軟膏で治療歴があったため、その治療を再開することになりました。


治療:モーズ軟膏塗布(週1)

モーズ軟膏は長期保存が難しいため製品化されておらず、各自施設で製剤する必要がありますが、当院では流動性を高めて塗布しやすくするため基材を塩化亜鉛、亜鉛化軟膏、グリセリンに変更してガーゼ法で処置を行なっております。

正常組織に付着すると皮膚炎を起こすなどリスクもあるため、自宅ではできない治療法です。


治療前

治療直後:腫瘍は化学的に固定されている


治療開始1ヶ月


治療開始3ヶ月


継続治療は、飼い主様のご協力がないと成り立ちませんが、熱心にご通院頂いたこともあり、腫瘍は治療によって目に見えて縮小しています。

かなり高齢ですが、一般状態もいいため、QOLを改善するために今後も治療を継続していく予定です。


以上です。

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