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マイクロブタの誤食と消化管閉塞

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回はマイクロブタの誤食と消化管閉塞について紹介します。

手術写真を掲載しています。苦手な方は注意して下さい。


マイクロブタで時折ご相談があるトラブルの一つが誤食です。

誤食に対して、催吐処置の方法は限られます。

催吐処置によって嘔吐はしますが、胃の内容物は十分に排出されません。

場合によっては内視鏡検査や開腹手術による消化管切開で異物の摘出が必要になる場合もあります。


ここで、症例を紹介します。

症例:マイクロブタ、1歳、去勢♂

主訴:急に元気と食欲がなくなり、吐き気がある

ここで身体検査とx線検査、血液検査を行いました。

今の時期は熱中症も考えられるため、要注意でしたが、発熱はありませんでした。


x線検査:胃拡張を認めた


血液検査:軽度の脱水のみ認められた


飼い主様からは異物など食べた形跡はないとのことでしたが、念の為入院下で耳静脈またはサフェナ静脈から血管確保して点滴をしながら経過観察としました。

入院下では、ぐったりしており、嘔吐を繰り返しました。


マイクロブタは消化管領域が腹腔内で多く占め、ガスを多量に含むことからエコー検査で得られる情報がとても少なくなります。

状況から消化管に異常があることは間違いないため、麻酔下で侵襲性の少ない内視鏡検査を行いました。


内視鏡検査:胃から十二指腸に紐上異物と胃炎兆候を認めたが、摘出はできなかった

紐上異物は消化管内で閉塞しており、急遽開腹下での異物摘出に変更しました。


治療:開腹下で胃切開と腸切開による異物の摘出

胃内異物はこぶし大もあり、可能な限り無菌的に摘出する必要がありますが、とても大変でした。

その他にも異物がないかチェックすると、小腸遠位側にも紐上の異物があり、同時に摘出しました。とにかく消化管が長いため、チェックするのも大変です。


術後は吐き気は治るものの胃炎により全く食欲が戻らず、高カロリー輸液やその他対症療法、強制給餌を行い、何とか3日目から自分から食べるようになり、無事退院となりました。

その後自宅でも元気食欲は元通りとなり、術創もきれいに治りました。


消化管閉塞の場合は、時間との勝負です。

今回は不調を呈した翌日には外科的に対応できたこともあり、体力を消耗し過ぎずに済んだと思われます。

以上です。

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