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マイクロブタの犬歯の歯根膿瘍

  • 執筆者の写真: ハーブ動物病院スタッフ
    ハーブ動物病院スタッフ
  • 8月30日
  • 読了時間: 2分

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は、マイクロブタの犬歯の歯根膿瘍について症例を紹介します。


症例:マイクロブタ、去勢♂、15kg

主訴:左下顎皮膚から排膿がある、以前ケージを噛んだ際に犬歯が破折してしまったことがある


血液検査を実施、鎮静下で歯のレントゲン検査を行いました。

血液検査:軽度の小球性低色素性貧血

x線検査:犬歯歯根周囲に透過性亢進の嚢胞形成


診断:左下顎犬歯の歯根膿瘍

おそらく歯の破折により露髄、口腔内細菌がそこから感染を起こし、歯根膿瘍となって皮膚まで瘻孔を形成したものと思われます


治療:犬歯の抜歯

マイクロブタの場合、犬歯は常生歯であり、下顎骨内に深く埋まっているため、抜歯の難易度はとても高いです。

歯科専門の獣医師を呼び、施術しました。

皮膚を切開し、下顎骨を露出、下顎骨を一部切削して、犬歯にアプローチしました。

犬歯の歯根は膿瘍が多量にあり、嚢胞が形成されていました。

細菌培養検査を実施した上で、下顎骨内を丁寧にポビドンヨード液で洗浄、犬歯を分割しながら慎重に抜歯しました。

合併症として下顎骨骨折や顎動脈の損傷による出血などに注意が必要ですが、大きな問題は起きませんでした。


細菌培養検査:大腸菌(多剤耐性)

術後はしばらく排膿が続きました。

当院に来院するまでに既に抗生剤を投与しており、大腸菌が耐性を獲得したものと思われます。

細菌に感受性のある抗生剤クロラムフェニコールの内服、局所のポビドンヨード洗浄を行いました。

1ヶ月半ほどで感染が落ち着いたため、瘻孔を閉鎖する処置を行いました。


マイクロブタの歯根膿瘍はとても難易度が高い治療となります。

歯の破折には十分注意が必要です。

以上です。

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埼玉県川口市のハーブ動物病院

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