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ハリネズミの眼球突出に伴う乾性角結膜炎

更新日:2020年6月30日


こんにちは、獣医師の竹田ともみです。

今回はハリネズミの目の病気についてお話しします。


眼球突出とはその名の通り、目が飛び出てしまう病気です。

ハリネズミはもともと目の収納部分(眼窩)が浅く、肥満や眼窩周りの腫瘍、外部の刺激により眼球が突出しやすいのが特徴です。

この特徴はハムスターにも当てはまり、ハムスターは保定しただけでも目が出てしまう子もいます。もちろん、目に問題がなければ保定を解除すると元の位置に戻ります。


症例:朝、気がついたら目が飛び出ているということで来院したハリネズミさん(4才7ヶ月・雌)

鎮静下で、確認すると

目が飛び出ていることにより瞬きができず、乾性角膜炎を引き起こしています。

眼球に毛が張り付いていて、感染も心配です。今回の場合は早期発見のため、眼球温存を目的に眼瞼縫合処置が適応であると判断しました。

処置後、1週間の抗生剤の内服とヒアルロン酸の目薬で経過をみます。


眼瞼縫合処置とは…眼球を洗浄、消毒し、元の位置に押し戻します。そして再度飛び出ないように眼瞼(まぶた)を縫い合わせます。きちんと縫合しないと糸が目を傷つけてしまう可能性があるため、注意しなければいけません。

しかしこの処置は根本治療ではないため、腫瘍が原因の突出や乾性角膜炎の経過が長く、眼球組織が機能していない症例の場合は効果がありません。


処置後1週間の様子です。

縫合の隙間から見える眼球の色に変化があることがわかります。眼球の収縮や化膿がみられないことから、さらに1週間後に抜糸を行うこととしました。本人が糸を引っ張ってしまい再縫合をしましたが、その後は落ち着いてくれました。


抜糸後の写真です。

まだ眼球にやや出血がみられますが、初回に比べると目の輝きを取り戻しています。瞬きもできていることから、眼球温存が可能となりました。視力は完全に消失していますが、もともと嗅覚を頼りに生活しているので日常生活にほとんど支障をきたしません。


さらに一ヶ月後、定期検診を行いました。

飼い主様は1日4回の目薬をかかさずに行なっています。この協力なくしては、ここまで綺麗な状態に回復することができません。今後も目薬を継続しながら、定期検診を行います。


今回は飼い主様の早期発見と献身的なサポート、そして眼瞼縫合が功を奏した症例でした。


当院ではハリネズミの診察も行なっています。健康診断や爪切り、皮膚治療等も対応しておりますので、お気軽にご相談下さい。


埼玉県川口市のハーブ動物病院より

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