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チンチラの直腸脱と腸重積

更新日:2020年12月12日

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は、チンチラの直腸脱と腸重積について紹介します。

術中所見を掲載しています。苦手な方はご注意ください。


直腸脱とは

肛門から直腸が反転して脱出してしまった状態です。

原因は、腸重積、重度の下痢としぶり、高齢のメスに多い肛門括約筋の緩みなど様々です。

治療は、必要に応じて結腸固定術や肛門の巾着縫合、原因の除去を行います。


腸重積とは

明確な原因は不明ですが、腸管の一部が連続する腸管の肛門側に引き込まれてしまうことによって閉塞してしまう状態です。

進行すると、腸管は通過障害と虚血によって壊死してしまいます。


ここで症例を紹介します。

症例:チンチラ、3ヶ月齢、♂、240g

主訴:肛門から何か出ている

この段階では緊急性が極めて高く、鎮静下にて迅速に組織をポビドンヨード消毒と生食による洗浄をしながら、綿棒とグリセリンを用いて丁寧に体内へ戻しました

x線検査:消化管内の異常なガス陰影

おそらく体内で腸重積が起きていることが予想されたため、すぐさま開腹手術を行いました


治療:直腸脱と腸重積の整復、一部壊死した腸管の切除と腸管の端端吻合

開腹下で、腸管の走行を確認していくと、腸重積が認めらました

慎重に重積を整復すると、一部腸管の壊死と腸間膜動静脈内の血栓が認められました

血流に乏しい領域を含めて壊死した腸管を一部切除しました

正常な血流が認められる断端同士、極細(6-0)の吸収糸で腸管の端端吻合を行いました

小さな動物なので、技術的な難易度は高くなりますが、縫合部位から漏れがないかを確認するリークテストで問題がないことを確認した後、閉創しました

術後翌日には食欲が出始め、排便も可能となりました


この症例は飼い主様の迅速な判断によって、命をつなぐことができました。

退院後も順調に回復し、体重含め良好です。


再診時には便の大きさも正常に戻りました。

今後は元気に元の生活に戻ることができるでしょう。

以上です。

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