top of page

猫の会陰ヘルニア

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は猫の会陰ヘルニアについて症例を紹介します。

術中写真を掲載しています。苦手な方はご注意下さい。


猫の会陰ヘルニアとは

会陰ヘルニアは、肛門の周囲(会陰部)にある筋肉が萎縮したことによって隙間が生じ、そこにお腹の臓器や脂肪が入り込んでしまう病気で、排便困難や排尿困難へと進行していきます。

猫では犬より稀です。

犬では未去勢の雄で多く、性ホルモンによって会陰部の筋肉が萎縮しておきますが、猫では雌で多いとされています。

また、猫では交通事故などの骨盤や会陰部への外傷によって起こることが多いと言われています。

治療は、犬と大きく変わらず、会陰部のヘルニア孔を、周囲の筋肉または人工材料を用いて縫縮して閉鎖します。


ここで症例を紹介します。

症例:猫、避妊メス、3.4kg

主訴:お尻の右側が腫れている

触診:会陰部の腫脹部位は柔らかく、指で押し戻すことができ、直腸は変位なく、憩室を疑う所見は認められず

術前検査:過去に外傷を受けた所見も認められず、一般状態も良好


診断:会陰ヘルニア


治療:周囲筋肉とチタンメッシュを用いたヘルニア孔の閉鎖

犬では、術式はさまざまで、再発率は10-40%と厄介な病気です。

この症例ではヘルニア孔はそれほど大きくなく、周囲の筋肉の萎縮は軽度で、逸脱した組織は骨盤腔内の脂肪のみであり、整復した後、通常通り閉鎖しました。

今回は、直腸の変位もなかったため、結腸固定は不要と判断しました。

当院では、非吸収糸で編み込まれたプロリーンメッシュも持っておりますが、感染や異物反応によって炎症が起きるリスクは低くないと言われており、それらのリスクが極めて低いチタンメッシュ(TiFプレート)を使用しています。

今回も今後会陰部の筋肉の萎縮が進行しないとも限らないので、念の為、チタンメッシュも設置し、デッドスペースがないよう縫合固定して、術創の消毒を行った後、通常通り閉創しました。


術後は特に炎症反応も起きず、おそらく再発もしないと思いますが、経過チェックはしていく予定です。


以上です。

閲覧数:335回

最新記事

すべて表示

コメント


bottom of page