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執筆者の写真ハーブ動物病院スタッフ

犬の股関節脱臼

更新日:2020年11月22日

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は犬の股関節脱臼について紹介します。


股関節脱臼とは

関節を構成する骨同士の関節面が、正しい位置からズレてしまう状態を”脱臼”と言います。股関節脱臼は、骨盤の寛骨臼と大腿骨の大腿骨頭により形成される股関節において、脱臼を起こして、寛骨臼から大腿骨頭が外れてしまった状態です。

原因は、股関節の低形成など先天性のものと交通事故や落下、外傷など後天性のものに分かれます。

治療は、非観血的整復と外科治療(大腿骨頭切除術など)があります。


ここで症例を紹介します。

症例:トイプードル、14才、去勢オス

主訴:小高い場所から着地に失敗し、左後肢を跛行

視診と触診上、強い疼痛と後肢の長さと向きが左右非対称があることから、股関節脱臼が疑われましたが、まずは状態把握のため、x線検査へ進みます。


x線検査:左股関節の脱臼(腹尾側方向)を認めた


治療:内科療法を行い、再脱臼があれば外科手術


麻酔下で、左股関節の脱臼を整復しました

この症例は既往歴として、僧帽弁閉鎖不全症(ステージB2)と軽度の三尖弁閉鎖不全症、特発性前庭疾患があり、麻酔リスクのある症例(ASA Class4/5)でしたが、適切な麻酔管理下で素早く整復し、多少の覚醒遅延はありましたが、無事終えることができました。


治療後のx線検査:整復されていることを確認


股関節脱臼は、脱臼の方向によって包帯の種類が変わります。

今回は腹尾側方向への脱臼であり、ホブル包帯(足かせ包帯)を行って、2週間安静に過ごしました。


整復後1週間で包帯による褥瘡と炎症反応が認められましたが、消毒と毛刈り、局所シャンプー、抗生剤の処方を行うと、すぐに改善しました。


結果的には包帯を外した後も、再脱臼することなく、治療を終えることができました。


内科治療で良くならない場合も少なくなく、今後は激しい運動や段差の昇り降りなどは要注意ですが、無事元の生活に戻れると思います。


以上です。

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