犬の眼瞼の扁平上皮癌

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は犬の眼瞼の扁平上皮癌について紹介します。

術中写真を掲載しています。苦手な方は注意して下さい。


眼瞼の扁平上皮癌とは

眼瞼にできる腫瘤として犬では良性、猫では悪性が多くなります。

犬ではマイボーム腺腫や腺癌、扁平上皮癌、肥満細胞腫、メラノーマなど、猫では扁平上皮癌や肥満細胞腫などの発生が報告されています。

扁平上皮癌は、表皮の細胞ががん化したもので、眼瞼に発生した場合は局所浸潤が強く、転移性は低い特徴があります。

治療は、局所コントロールのため外科切除、放射線治療、5-FU軟膏の塗布(猫では5-FUという抗がん剤の全身投与は致死性の神経毒性が出るため禁忌)などが有効です。


ここで症例を紹介します。

症例:フレブル、12歳、11kg、避妊♀

主訴:既往歴として眼瞼炎があり、再発と改善を繰り返していたが、ここ2週間で急速に下眼瞼の腫瘤が増大してしまった

視診では悪性腫瘍の可能性が高く、すぐに針生検による細胞診を行いました。


細胞診:やや幼若な扁平上皮細胞と好中球が多く採取され、扁平上皮癌が疑われた


飼い主様とご相談し、扁平上皮癌が疑われることと急速に増大していることからその日の内に眼瞼腫瘤の外科摘出を行うことになりました。


治療:下眼瞼腫瘤の外科切除と皮膚の前進皮弁による眼瞼再建

扁平上皮癌は局所コントロールのための初回の手術が最も重要になります。

見た目の変化を可能な限り抑えつつ、腫瘍組織を完全切除することが最善策です。

腫瘍と気付かずに切除すると再発してしまい、悲惨な状況となるため、注意が必要です。


今回は下眼瞼の腫瘍を視診上、触診上、正常と思われる部分で切除範囲として皮弁術も含めた切開ラインを術前に設定しました。

術中播種を予防するため腫瘍に触れないよう慎重に切除した後、丁寧に皮弁を眼瞼に合わせ、完治するまで縫合糸や治癒した後の皮膚の毛が角膜に当たらないように配慮しながら縫合を行いました。

術後はやや周囲結膜の腫脹と化膿性の眼脂がありましたが、本人がとてもお利口でお薬の内服や点眼も問題なくできたため、大きな合併症なく、術後は良好に経過しました。


術後病理組織診断:眼瞼の扁平上皮癌(やや悪性度が高いが、完全切除されている)


腫瘍の浸潤が想定以上に進んでしまっていた場合は、術後放射線治療や、抗がん剤5-FU軟膏の局所塗布まで想定しておりましたが、外科的に完全切除できたため、今後は無治療経過観察となります。


ちなみに以前、眼瞼の扁平上皮癌の再発症例で5-FU軟膏で完治したがことがあり、それもまた有効ではないかと考えています。


以上です。

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