犬の原発性上皮小体機能亢進症

更新日:5月23日

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は、犬の原発性上皮小体機能亢進症について紹介します。

以前は経皮的エタノール注入療法(PEIT)の記事を書きましたが、今回はPEITで対応できず、外科切除で対応した症例を紹介します。

術中写真があります。苦手な方は注意して下さい。

原発性上皮小体機能亢進症とは

上皮小体(副甲状腺)からパラソルモンというホルモンが過剰に分泌され、血中カルシウム濃度が上昇し、多飲多尿や食欲低下、腎結石、膀胱結石などを引き起こします。

診断は、血液検査、視診、触診、エコー検査等を行い、除外診断と腫大した上皮小体結節を確認します。

治療は、内科治療(輸液、プレドニン、フロセミド、カルシトニンなど)や外科治療(上皮小体腫瘤の切除)や経皮的エタノール注入療法(PEIT)があります。


ここで症例を紹介します。

症例:ミニチュアダックスフント、14才、去勢オス

主訴:持続的な高カルシウム血症

血液検査:Ca:>16.0mg/dL(測定上限を超える)

胸部X線検査:著変認められず

エコー検査:左側頭側の上皮小体腫瘤5mm大を認めた

横断面

縦断面


診断:原発性上皮小体機能亢進症

高カルシウム血症を引き起こす病気はいくつかあるため、まずはそれらを除外する必要があり、同時にエコー検査にて上皮小体腫瘤を確認することで診断します


治療:PEITを2回行うも改善なく、上皮小体腫瘤の外科切除を行った

腫大した単一の上皮小体腫瘤に対する経皮的エタノール注入療法(PEIT)は、全身麻酔下にて短時間で行うことができ、有効性と合併症は外科切除と変わらないという報告がありますが、この症例は2回行うも、わずかに改善するのみですぐ再発してしまいました。

その後、カルシウム受容体作動薬であるシナカルセト含む内科治療を行いましたが、全く改善なく、飼い主様とご相談の上、上皮小体腫瘤を外科切除することになりました。

頸部の皮膚と胸骨舌骨筋を正中切開後、気管に接する甲状腺と上皮小体腫瘤を確認。

上皮小体腫瘤を摘出するため、反回喉頭神経を損傷しないよう慎重に周囲の血管をバイポーラで止血凝固していきます。

甲状腺を温存して、上皮小体腫瘤のみを摘出しました。


エコー検査にて位置を把握しており、電気メスのバイポーラを使うことによって出血も一切なく、比較的短時間で終えることができました。


病理組織診断:上皮小体腺腫(被膜外切除でサージカルマージン明瞭)


術後から徐々にカルシウム値は下がり続け、術後4日目にしてカルシウム値が8.3mg/dLとなり、低カルシウム血症を予防するため、炭酸カルシウムとアルファロールによる補充療法を行いました。

おそらく過剰なパラソルモンの放出が長い期間持続していたため、他の上皮小体からの分泌は少ない状態になっていたと思われます。

今後はカルシウム値をモニターしていき、パラソルモンの分泌能が回復するまで補充療法を続ける予定です。


以上です。

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