犬の重度の皮膚炎に対するMMD療法
- ハーブ動物病院スタッフ

- 7月20日
- 読了時間: 3分
更新日:6 日前
こんにちは。
ハーブ動物病院です。
今回は、犬で慢性化して悪化してしまった皮膚炎に対するMMD療法について紹介します。
MMD療法とは
MMD療法は、慢性難治性アトピー性皮膚炎および脂漏性皮膚炎(象皮化・苔癬化・色素沈着を伴う重度マラセチア皮膚炎)に対する「ステロイド外用パルス療法」で、「薬理学的アプローチ」と「経皮吸収の最大化」、そして「バリア機能の再構築」を1つのプロトコルに統合した治療法です。
この治療法の主な手順と作用機序は以下の3点です。
1.外用薬の塗布:強力な抗炎症と二次感染の制御
外用薬に含まれるステロイドは、「ベリーストロング(強力)」に分類されます。
特に悪化した皮膚病変に対し重点的に、3時間以上、外用薬を塗布することで、重度に肥厚した皮膚の深層まで薬剤を十分に浸透させ、炎症を強力に抑制します。
また、同剤に含まれるアミノグリコシド系抗菌薬と抗真菌薬は、表皮へ直接塗布されることで、飲む薬では不可能な薬剤強度に高めることできます。菌の耐性メカニズムは追いつかず、近年、多剤耐性で問題視されるメチシリン耐性のブドウ球菌等に対しても強力な耐性菌対策になります。
2.薬用シャンプーで洗浄:外用薬の洗浄とバイオフィルムの破壊
耐性菌は皮膚表面で「バイオフィルム」という膜を作り、薬の浸透を阻害して生存します。シャンプー剤の主成分であるクロルヘキシジングルコン酸塩とミコナゾール硝酸塩の相乗効果により、皮膚に残存した細菌や真菌を化学的に死滅させます。特に重要なのは、強力な外用薬を数時間作用させた後、完全に洗浄するという点です。これにより、薬剤による皮膚萎縮や菌の耐性の獲得等の副作用を最小限に抑えつつ、菌が形成したバイオフィルムを物理的に除去することができます。
3.保湿:皮膚角質層バリア機能の形成(エモリエント効果)
慢性化した皮膚炎では、細胞間脂質が著しく脱落し、経皮水分蒸散量(TEWL)が上昇しています。シャンプー直後に水分を含んだ皮膚に、適切な保湿剤を塗布することで、破壊された皮膚の角質層を物理的・生化学的に修復し、皮膚バリア機能を形成します。
当院では、上記のMMD療法に、トリミング施設のマイクロバブルを取り入れて治療しています。これにより薬剤を毛穴の奥まで浸透させると同時に、「擦らない洗浄」によって皮膚バリアの温存が可能となり、治療効果が高まると考えられます。
ここで、症例について紹介します。
症例:柴犬、13歳、去勢♂、14kg
主訴:重度の皮膚炎を治療しているが、痒みが止まらない
既往歴:甲状腺機能低下症、アレルギー性皮膚炎
皮膚検査:苔癬化、色素沈着、マラセチアの検出
独特の臭いもあり、脂漏性で強い痒みと脱毛が認められました。
診断:慢性難治性アトピー性皮膚炎および脂漏性皮膚炎
治療:MMD療法
自宅での治療は、舐めてしまう・すすぎ残し・ドライヤー過熱等、失敗して断念、悪化させてしまうリスクがあります。
飼い主様にとって「大変なシャンプー」というストレスを解放し、トリミング施設が併設された動物病院で治療を行うことで、動物と飼い主様のQOL(生活の質)を同時に向上させることが可能です。
この症例は、今まで他院様にて内服による治療を行っておりましたが、MMD療法1回目終了時から、特有の臭い、脱毛、痒み等、皮膚状態の明らかな改善とそれに伴って活動性が認められました。
治療1ヶ月後には健康的な皮膚状態と言えるまでに改善することができました。
今後は間隔をあけたMMDパルス療法を継続してサポートしていければと思います。
長年、愛犬の重度の皮膚病でお困りの場合は、是非一度当院までご相談頂ければと思います。















