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子犬の口蓋裂

更新日:2023年10月1日

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は、子犬の先天性疾患である口蓋裂について症例の紹介をします。


口蓋裂とは

先天性異常で、口唇の一部が裂けた口唇裂(一次)と、硬口蓋や軟口蓋が裂けた口蓋裂(二次)の総称であり、複合する場合もあります。

母親の胎内で起こる栄養障害または遺伝性など多因子が考えられており、特に妊娠前から葉酸を投与することにより口蓋裂の発生リスクが低下するという犬の報告もあります。

口と鼻が繋がってしまうため、誤嚥してしまい、鼻炎や肺炎を起こして亡くなるため治療が必要です。

治療は、離乳する2-3ヶ月齢まで誤嚥を避けるため栄養カテーテルを用いて給餌するチューブフィーディングを行い、その後、外科的に口蓋裂を閉鎖することによってその後は問題なく、日常生活を送ることができます。


ここで症例を紹介します。

症例:フレンチブルドック、3ヶ月齢、2.6kg、♂

主訴:先天性口蓋裂

ブリーダーは産まれてから丁寧なチューブフィーディングで3ヶ月齢まで元気に育ててくれており、血液検査など問題ないため、予定通り手術となりました。


治療:口蓋裂の整復(ダブルフラップ法)

硬口蓋から軟口蓋にかけて口蓋裂があります。

まず縫合部の硬口蓋/軟口蓋粘膜を切開して新鮮創に、左右歯列内側の硬口蓋粘膜を大口蓋動脈の損傷に注意して切開後、丁寧に硬口蓋粘膜を骨膜から剥離し、内側へ寄せて口蓋裂を閉鎖しました。

術中は吸引嘴管を用いて出血を吸引除去することで視野の確保と術後の鼻出血を最小限に抑えることができました。

軟口蓋は、鼻腔側と口腔側の二層縫合で閉鎖しました。

縫合部全体として、余計な張力が掛かる感触はなく余裕があり、ポビドンヨードで消毒して終わりました。

術後は1-2週間食道婁チューブを設置して給餌、口腔内の術創を清潔に刺激なく治癒させました。

歯列内側の切開創は、翌日には肉芽が出現し、数日かけて二期癒合しました。

口蓋裂がさらに大きければ、複数回の手術が必要になると思われますが、この症例は再手術なく閉鎖できました。


今後は、他の子と変わらなく元気に生活できると思われます。

ブリーダーの努力の賜物ですね。

以上です。

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