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ウサギの子宮腺癌


こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は、ウサギの子宮腺癌について紹介します。

子宮や卵巣疾患は避妊手術で予防できるので、健康なうちに手術することを大切です。


子宮腺癌はウサギの子宮疾患の約半分占める最も多い悪性腫瘍です。

次いで、子宮内膜過形成が26%を占め、どちらも子宮摘出が第一選択の治療にあげられます。大きな違いは子宮腺癌の場合は肺転移を伴う可能性があることです。

術中写真を掲載しますので、苦手な方はお気をつけ下さい。


症例:ロップイヤー、2.0kg、5歳、♀

主訴:急に暴れ出した


普段は穏やかな子であるようですが、急に暴れ出して心配になった飼い主様が連れて来られました。病院では落ち着いていて、歩行異常はありませんでした。

しかし、触診において子宮の硬化が認められたためエコー検査を実施しました。


エコー検査:子宮に腫瘤とその内部の粗像が認められた

x線検査:子宮領域の一部石灰化、肺野は異常認められず、後肢の運動器の異常は認められず


血液検査:異常認められず


全身状態が良好であり、転移病変もないので子宮の腫瘍性病変を疑い、摘出手術を行うことになりました。


治療:卵巣と子宮腫瘤の摘出


子宮は左右で大きさが異なり、複数ヶ所に硬い腫瘤性病変が確認できます。

子宮尾側は触診上、異常は認められず、正常組織と思われる部分を切除ラインとします。

盲腸などを傷つけない様に慎重に取り出しました。

手術翌日から強制給餌を行い、排便が確認できたため退院となりました。

抜糸後も問題なく日常生活を送っています。


病理検査結果:子宮腺癌、平滑筋腫

子宮腺に由来する悪性腫瘍が多発、筋層深部まで腫瘍の浸潤が認められる。

切除縁上での増殖はみられないが経過観察は必要と考えられる。

2ヶ所に平滑筋由来の良性腫瘍も認められる。卵巣に異常なし。


今回は2種類の腫瘍が併発していました。

子宮腺癌は早期に摘出術を行うと8割の子が再発せず、半年以上生存している報告があります。膣からの出血で発覚することが多いですが、今回のように些細な変化や触診にて発覚するケースもあるため、未避妊の雌は定期的な健康診断が重要であることを再認識しました。


以上です。

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