こんにちは。
ハーブ動物病院です。
今回は猫の消化管穿孔について症例を紹介します。
術中写真を掲載しています。苦手な方はご注意下さい。
症例:猫、8歳、避妊♀、4.3kg
主訴:元気、食欲低下、発熱
症例は発熱しており、その原因精査のため、各種検査を進めます。
血液検査:特に異常を認めず
エコー検査:腹水貯留、胃壁の腫大、十二指腸の波打ち像、腹腔内の遊離ガスを認めた
貯留液検査:細菌性滲出液
胸部x線検査:特に異常認めず
診断:消化管穿孔
腹腔内には腹水と遊離ガスを認め、腹水は多様の細菌と炎症細胞が主体であることから、消化管穿孔を疑い、外科治療に進みました。
治療:消化管穿孔の整復と抗菌療法
全身麻酔下で開腹し、穿孔部位を探します。
腹水は肉眼上、胆汁が混じっており、幽門から十二指腸にかけて裂傷が認められ、漏出していることがわかりました。
胆管や膵管は明らかな腫大がなく、目視できないため、術中に損傷しないよう慎重に、幽門から十二指腸を牽引して、裂傷部位の壊死組織を除去した後、ギャンビー縫合で閉鎖しました。
その他、胃壁や消化管は、視診、触診上、腫瘍や炎症を疑うような異常所見は認められませんでした。
腹腔内をよく洗浄し、ドレーン管を設置して、閉腹しました。
術後は発熱を繰り返し、食欲がなかなか元に戻りませんでしたが、腹水の貯留はなく、術後3日でドレーンを抜去し、内科治療を1ヶ月ほど続けながら無事元の生活に戻ることができました。
特に腫瘍や異物が原因ではなく、不明でしたが、無事完治して良かったです。
以上です。