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執筆者の写真ハーブ動物病院スタッフ

犬の免疫介在性血小板減少症

更新日:2022年4月12日

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は、犬の免疫介在性血小板減少症(IMTP)について紹介します。

免疫介在性血小板減少症(IMTP)とは

免疫系が止血に働く血小板を破壊してしまう病気です。

血小板は25000個/μLを下回るほどに減少すると、全身で自然出血が起こり、重要な臓器の中で出血が重度になると機能不全により亡くなるリスクがあります。

原因不明の場合が多いですが、ワクチンや薬剤、その他感染症や腫瘍が原因となって続発する場合もあります。

治療は、主にステロイドや免疫抑制剤、脾臓摘出、輸血などがあり、必要に応じて併用し、薬の用量を調整しながら3−6ヶ月間以上の継続治療を行うことになります。


ここで症例を紹介します。

プロフィール:マルチーズ、13歳、去勢♂

既往歴:当院で弁膜症(MR、TR)の継続治療

主訴:皮膚に紫斑ができた、元気食欲あり、黒色便

この段階で止血不全が考えられ、より細い採血針を用いてサフェナ静脈から採血しました。

血液検査:重度の血小板減少(3000個/μL)、BUN↑、v-LIPA↑、CRP↑

IMTPは除外診断で行うため、血小板が低くなるような病態がないか胸腹部を精査しましたが、原因となるような病巣は認められませんでした。


診断:免疫介在性血小板減少症


治療:プレドニン2mg/kg、シクロスポリン6mg/kg、消化管粘膜保護薬、肝保護薬

致死率30%程度のリスクがある命に関わる病気のため、入院下で治療を開始しましたが、全身状態は良好で、薬の服用も問題なく、元気食欲は良好でした。

治療開始4日目で血小板が回復し始めたため、退院して自宅での継続治療となりました。


その後1週間で血小板数も見た目もすっかり元通りです。


今後は徐々に薬を漸減し、再発を繰り返すなど難治性であれば、脾臓摘出も検討する必要があります。

ひとまず治療が早々に功を奏し、良かったです。


以上です。

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