こんにちは。
獣医師の竹田ともみです。
愛鳥がたくさん卵を産んで困っているというご相談をよく受けます。
そこで今回は鳥の発情抑制についてお話ししたいと思います。
特にセキセイインコは発情しやすく、早い場合は三ヶ月齢から卵を産み始めます。
必要なカルシウムが足りなくなると、自分の骨からカルシウムを引っ張ってくるため、
卵を産み続けることは自分の身を削る行為となります。
愛鳥に健康で長生きしてもらうためには産卵を極力抑えることが重要です。
多くのセキセイインコは発情すると、黒目が小さくなり、尾羽をあげます。
この写真よりもっと黒目が小さくなります。
ギョリギョリという鳴き声をしているときに背中を撫でたり、おもちゃが背中に当たるようなポジションに置いてあると、オスが乗ったと勘違いして、排卵してしまいます。
排卵すると卵管を通り、殻をつけ、通常24時間〜48時間以内に卵を産みます。
そう、排卵すると『卵』はできてしまうのです。
排卵したかどうかは誰にもわかりません。
私たちが触診で卵の有無がわかるのは殻がついた最後の段階です。
産卵を抑えるためには発情を抑え、排卵させないことが必要です。
卵がある状態のレントゲン画像です。
体の大きさに対して卵がかなりの範囲を占めていることがわかります。
体に負担がかかるのは一目瞭然です。
発情を抑える4つのポイント
1.発情相手を近づけない
2.餌の量を見直し
3.規則正しい生活をする
4.ケージのレイアウトと場所の見直し
1.発情相手を近づけない
発情相手とは、様々です。
同居鳥はもちろん、人間、おもちゃ、鏡に映る自分、止まり木、餌箱など
発情行為を行なっている対象を取り除く必要があります。
飼い主様もなるべく近づかず、穏やかに過ごしてもらいます。
少し寂しい気もしますが、とても重要なことです。
このようなブランコも発情につながる場合があります。
2.餌の量を見直し
飼い鳥は常に餌が食べられる状態にあり、十分な体力を備えることができます。
食事量をコントロールすることで、自分自身に必要な量のみ与えます。
食事量を制限することは発情抑制に加え、飼い鳥に多い疾患である脂肪肝も防ぐことができるためとても有用な手段です。
3.規則正しい生活をする
自然界では日の出とともに起床し、日の入りとともに就寝します。
しかし、飼い鳥は人の生活リズムに合わせ生活しているため、長時間活動しています。
これは発情するタイミングを増やすことに繋がります。
そのため、早く就寝させることでこれらを予防します。
19時頃には寝かせ、朝まではコミュニケーションを取らないようにします。
4.ケージのレイアウトと場所の見直し
先ほども記載しましたが、発情相手となるおもちゃ等を取り外きます。
そして、ケージの場所を移動します。
普段ケージを置いている場所は安心できると認識があるため、移動させることで敵が襲ってくる場所かもしれないという適度なストレスを与えます。
しかし、その場所に慣れてくると発情が再開する可能性があるため、度々ケージの位置は
移動する必要があります。
いかがでしょうか。
発情についてはこれだけでは抑えられない場合があります。
必要な食事量もその子に合わせて考える必要があり、その他お悩みも含め、お気軽にご相談下さい。
埼玉県川口市のハーブ動物病院より
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