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執筆者の写真ハーブ動物病院スタッフ

犬の皮下に発生した脂肪肉腫

更新日:2023年12月1日

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は犬の脂肪肉腫について症例を紹介します。


脂肪肉腫とは

脂肪肉腫は皮下組織や筋肉等の軟部組織や脾臓から発生する脂肪細胞由来の悪性腫瘍です。

高分化型では局所浸潤するものの転移は稀で、多形型では局所浸潤に加え、転移を起こすため予後が悪いとされています。

治療は主に外科切除ですが、不完全切除、切除不能の場合等に放射線治療、転移があるまたは多形型に対してドキソルビシン等による化学療法があります。

外科的に完全切除ができ、高分化型であれば予後は良好です。

ちなみに良性の脂肪腫から悪性化することはないとされています。


ここで症例を紹介します。

症例:トイプードル、7歳、♀、8.6kg

主訴:気が付いたら腰背部に大きな皮下腫瘤が認められた

触診では底部固着があり、急速増大している点から悪性腫瘍が予想されます。

進行度を含めた腫瘍診断を進めます。


針生検:異型性がある、核小体明瞭の脂肪細胞が多量に採取された


x線検査:腰背部に境界明瞭の皮下腫瘤が認められ、胸部への転移は認められなかった


エコー検査:底部固着のある境界明瞭の皮下腫瘤が認められ、また、腫瘍周囲の腸骨や脊椎への浸潤や腹部臓器への転移所見は認められなかった


血液検査:軽度の肝障害を認めた


仮診断:脂肪肉腫、TNM分類:T3N0M0

急速増大しているという点で早急に外科切除しました。


治療:外科切除

外科切除の際、本来はマージン2cmとされていますが、この症例は腫瘍が画像診断上、境界明瞭で、脊椎や腸骨等の周囲組織への拡がりは認められず、運動能を可能な限り温存する目的で、マージン1cmと底部筋膜1枚を切除範囲としました。


病理組織診断:脂肪肉腫高分化型、完全切除


術後は特に大きな問題もなく、脂肪肉腫高分化型で完全切除されていることから予後は良好と判断し、その後は経過観察のみで対応予定です。

腫瘍は腸骨や脊椎に近接しており、やや難易度が高かったですが、完全切除できて良かったと思います。


以上です。

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