犬の原発性上皮小体機能亢進症

最終更新: 2019年9月12日

今回は、犬の原発性上皮小体機能亢進症について紹介したいと思います。



原発性上皮小体機能亢進症とは、上皮小体(副甲状腺)ホルモン(パラソルモン)過剰分泌によって、血中Ca濃度が上昇し、多飲多尿や食欲低下、腎結石、膀胱結石などを引き起こします。

パラソルモンの作用機序:骨からCaを吸収、腎臓からCaの排泄抑制、小腸からCaの吸収促進によって、総じて血中Ca濃度を上昇させます。


診断は、血液検査、視診、触診、エコー検査等を行い、除外診断と腫大した上皮小体結節を確認します。

治療は、内科治療(輸液、プレドニン、フロセミド、カルシトニンなど)や外科治療(上皮小体を甲状腺ごと一括して切除)の他に、比較的新しい治療法として経皮的エタノール注入療法が加わりました。


経皮的エタノール注入療法(PEIT)についての報告をご紹介します。


参考文献:Outcomes for dogs with primary hyperparathyroidism following treatment with percutaneous ultrasound–guided ethanol ablation of presumed functional parathyroid nodules: 27 cases (2008–2011)

(治療成績)

外科切除:3/4個まで摘出可能、奏功率94%、奏功期間中央値561日

経皮的エタノール注入法(PEIT):奏功率85%、奏功期間中央値540日、麻酔時間30分、必要であれば追加治療

(副作用)

外科切除:低Ca血症(40%)、発咳、出血、嚥下障害など

経皮的エタノール注入法:低Ca血症(22%)、鳴き声の変化、発咳、癒着


全身麻酔時間はおよそ20分ほどで、95%エタノール0.4mLを超音波ガイド下で経皮的に腫大した上皮小体結節に投与します。

術後経過として、低Ca血症(6mg/dL前後)を発症する場合もあり、その際は、Ca製剤の投与、ビタミンD製剤の経口投与を状態に合わせて行う必要があります。


ちなみに、人の方でPEITは1990年代後半から行われており、術後の癒着が問題となったため、今では新たな治療法が導入され、減少傾向にあるみたいです。

具体的には、診断技術の進歩(上皮小体シンチなど)によって、腫大した上皮小体のみ摘出するのが主流であり、切除困難であればシナカルセット(カルシウム受容体の感受性増加によるPTH分泌抑制)内服、直接ビタミンD注入療法やエタノール注入療法は、外科切除やシナカルセットが不適応になった場合に限って行われるようです。


人の医療の進歩には圧倒されてしまいますが、人での良い治療法は、慎重に、前向きに獣医療への導入を模索していきたいです。


当院では、最新の知見を踏まえ、動物や飼い主様にとってより良い獣医療を目指します。

どんなに些細なことでもお気軽にご相談下さい。


埼玉県川口市のハーブ動物病院より

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