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高齢だから麻酔ができない?

更新日:2022年12月16日

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は21歳10ヶ月齢とかなり高齢の腫瘍症例を治療しました。

途中術中所見があります。苦手な方はご注意下さい。


症例:猫、mix、21歳、3.5kg

主訴:腰背部の皮膚の腫瘤が自壊して出血、頻回の嘔吐

既往歴として昨年に他院で頭部皮膚に同様の腫瘍が発生し、手術を行なっておりましたが、病理組織診断を実施していないため、診断は不明でした。

原発もしくは転移の可能性も視野に皮膚腫瘤の針生検による細胞診と胸部x線検査、腹部エコー検査、一般状態の確認のための血液検査を実施しました。


細胞診:悪性所見の強い細胞集塊が多量に採取

エコー検査:脾臓内虫喰い像、脾臓近くに低エコー性腫瘤を認めた

血液検査や胸部x線検査では特に大きな異常は認められず、全身状態も良かったため、飼い主様とご相談の上、皮膚腫瘤、脾臓、脾臓近くの腫瘤を同時に切除する外科治療を行いました。


治療:外科切除

高齢でしたが、周術期は特に問題なく、皮膚腫瘤、脾臓、脾臓近くの膵臓腫瘤は縫合糸と高エネルギーデバイスで血管処理を行い、切除しました。

術中は一般状態は安定しており、術後の覚醒も問題なく、飼い主様とのご面会では変わりない様子に大変ご満足頂けました。

必要な支持療法を入院下で行い、翌日に退院しました。

自壊した腰背部の皮膚腫瘤

肉眼上大きな異常を認めない脾臓

膵臓左葉辺縁に発生した腫瘤


病理組織診断:皮膚は基底細胞癌、脾臓は初期の肥満細胞腫、膵臓は過形成


術後はむしろ嘔吐もしなくなり、また、全ての病変は完全切除されており、合併症もなく、術後の補助的治療を必要とせず元気に過ごせると思われます。

高齢だから麻酔が施せないと言われるもしくは自己判断してしまう方は少なからずおります。

高齢であれば確かに持病を有するリスクは上がり、積極的な治療ができない場合も少なくないというのは事実ですが、この症例のように大きな持病がなければ、治療することによって救うことができるということを認知して頂ければと思います。

以上です。

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