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執筆者の写真ハーブ動物病院スタッフ

猫の小腸の腫瘍

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は、猫の小腸の腫瘍について紹介します。

術中写真を掲載しています。苦手な方は注意して下さい。


猫の小腸の腫瘍とは

猫の小腸の腫瘍では、リンパ腫、腺癌、平滑筋肉腫などがあります。

リンパ腫を除く消化管腫瘍の治療は、主に外科切除が有効です。

外科切除の合併症には、術後の腸管麻痺、縫合部位の癒合不全、感染、出血、腹膜炎などがあります。特に癒合不全には注意が必要です。


ここで症例を紹介します。

症例:猫、13才、去勢♂、3kg

主訴:膀胱炎の治療中に消化管腫瘤が見つかった

状態を把握するため、局所病変や全身状態をチェックします。


エコー検査:腸管に漿膜側へ突出するように発生した1.3cm大の腫瘤を認めた、領域リンパ節やその他転移所見は認めず、腎嚢胞と膀胱壁肥厚あり


針生検による細胞診:間葉系の細胞集塊が採取された、リンパ腫は否定的


血液検査:慢性腎不全ステージ2


この症例は腎不全がありましたが、元気食欲もあり、今後起こりうる腸閉塞を予防するため、生検を兼ねて外科切除することになりました。


治療:小腸腫瘤の外科切除

腫瘤は孤立性で漿膜面に向かって増大しており、触診上、深部方向や横方向への浸潤を疑う所見は認めれませんでした。

腫瘤の両端、正常と思われる組織で切除した後、端端吻合を行いました。

吻合後のリークテストで問題がないことを確認した後、閉腹しました。


病理組織診断:肉腫

腫瘍は由来不明の肉腫で、切除縁や脈管内に腫瘍浸潤は認めらない(完全切除)


術後は特に大きな合併症もなく、腎数値も改善、元気・食欲・排便も良好でした。

現状、肉腫は完全切除できており、転移所見も認められていないことから、追加の治療は必要ありません。

今後は猫下部尿路疾患と腎不全の治療をしながら元気に過ごせるかと思います。


以上です。

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