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猫の唾液腺癌

執筆者の写真: ハーブ動物病院スタッフハーブ動物病院スタッフ

更新日:2023年1月12日

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は、猫の唾液腺癌について紹介します。

術中写真を掲載しています。苦手な方は注意して下さい。

唾液腺腫瘍は犬や猫では非常に稀で全腫瘍の0.2%未満と言われ、報告はほとんどありませんが、症例報告を参考にするとリンパ節や肺転移を認める予後が悪い場合もあるとのことです。


症例:猫、ロシアンブルー、去勢♂

主訴:右下顎に腫瘤を触知、元気食欲は問題なし

まずは炎症か腫瘍か各種検査を進めます。

エコー検査:右下顎腺が混合エコー源性に腫大、同側の内側咽頭後リンパ節が軽度腫大


細胞診:軽度から中等度の異型性を示す上皮系細胞集塊を採取


胸部レントゲン検査:肺野は異常を認めず

血液検査:異常認めず

上記の検査から炎症性病変の可能性も否定できないことから1週間内科治療を先行しましたが、改善がないため、飼い主様とご相談の上、手術することになりました。


治療:右下顎腺と内側咽頭後リンパ節の摘出

下顎腺は表層にありますが、下顎腺直上に頸静脈や周囲にはその分枝が走行しており、温存するため慎重に辺縁部で切除しました。

内側咽頭後リンパ節も同様に周囲の血管をバイポーラで焼烙しながら慎重に摘出しました。


病理検査:リンパ節転移を有する唾液腺癌(一部マージン狭小)


術後治療:トセラニブとnsaidsによる補助的化学療法

残念ながら転移が認められる状態で、上皮系悪性腫瘍に時に有効性を示すトセラニブで術後補助的化学療法をすることになりました。

トセラニブは有害事象として、血小板減少、嘔吐、高血圧があるためそれらを予防する内服も支持療法として追加しています。

現在は術後の合併症も特になく、今まで通り過ごせているため、今後は化学療法を継続しながら経過を観察する予定です。


以上です。

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埼玉県川口市のハーブ動物病院

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