こんにちは。
今回は犬の角膜の扁平上皮癌について紹介します。
角膜の扁平上皮癌とは
犬の角膜を原発とする悪性腫瘍は稀ですが、いくつかの扁平上皮癌の症例の報告があります。
発生要因として紫外線への曝露、慢性角膜炎、表在性外傷などのいくつかの要因が関与しています。
診断は腫瘍組織を生検することで行い、治療は表層腫瘤の外科切除や抗がん剤の局所投与などがあります。
ここで症例を紹介します。
症例:ミニチュダックス、18歳、♂
主訴:以前から慢性角膜炎と角膜表層に肉芽があり、徐々に増大している
診察時は、角膜の腫瘤表面はいびつで、疼痛反応も認められ、慢性炎症に伴う肉芽組織か角膜の扁平上皮癌が疑われました。
18歳という年齢から侵襲性のある積極的な治療は提案しづらいですが、5-FU軟膏の局所塗布によって侵襲性が低く、有効性が認められた治療法が報告されているため、飼い主様とご相談し、鎮静下で腫瘤の切除生検を行うことになりました。
術前検査を行った後の麻酔リスク評価は良好でASA ClassⅡ/Ⅴでした。
切除生検:鎮静下で角膜に点眼麻酔した後、腫瘤を切除生検しました。生検後の出血はほとんどなく、一般状態も問題なく、良好に覚醒しました。
病理組織診断:角膜の扁平上皮癌を第一に疑う
細胞は大小不同を伴い、異型性はやや高い
治療:5-FU軟膏の局所塗布、シクロスポリン眼軟膏
治療経過で認められた有害事象として眼瞼炎と角膜炎が認められましたが、一時的な休薬や塗布する軟膏の量を最小限に調整しながら、治療を継続し、腫瘍は縮小しております。
まだ治療は継続中ですが、状態に合わせて治療強度を設定していく予定です。
以上です。
Commentaires