こんにちは。
ハーブ動物病院です。
今回は、犬の脾臓腫瘤について紹介します。
術中所見を掲載してます。苦手な方は注意して下さい。
脾臓は、主に大きく感染に対する免疫を担う役割と老化した赤血球を処理したり、貧血時には補助的に造血したりする役割があります。
日本では、犬の脾臓腫瘤のおよそ30-50%が悪性であり、そのうちおよそ50%が血管肉腫と報告されています。
また、良性病変であっても、増大傾向を示し、破裂して腹腔内で大出血を起こすリスクがあります。
治療は、主に経過観察か脾臓摘出を行います。
脾臓摘出をしても、その後生活する上で大きな支障が出ることはありませんが、免疫能が低下するリスクがあるため、ワクチン接種など感染症予防はしっかり行う必要があります。
ここで症例を紹介します。
症例:チワワ、8才、避妊♀、3.2kg
主訴:やや活動性低下のため精査
エコー検査:脾頭部に1.2cm大の腫瘤形成、領域リンパ節や肝臓など転移所見は認めず
血液検査:著変認めず
8才という年齢を考慮すると、脾臓腫瘤が仮に良性病変であっても、加齢と共に増大する可能性があることから、生検も兼ねて脾臓摘出することになりました
治療:脾臓摘出
脾臓腫瘤は破裂しておらず、周囲組織との癒着もなかったため、およそ15分程度と素早く摘出することができました。
当院では、サンダービートという血管径7mmまでシーリングできる高性能手術用デバイスを採用しているため、より出血量を抑え、より短時間で手術することが可能です。
術後病理組織検査:結節性過形成(一部、濾胞辺縁帯リンパ腫の初期病変の可能性あり)
仮に濾胞辺縁帯リンパ腫であっても、脾臓摘出をすでに行っているため、追加の補助治療の必要はありません。
今後は念のため定期的な検診を行う予定ですが、元気に過ごせるだろうと思われます。
以上です。
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