犬の肉球のリンパ腫

最終更新: 7月14日

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回はリンパ腫についてご紹介したいと思います。


リンパ腫とは

血液中の免疫機能として働く白血球のうちリンパ球(B細胞、T細胞、NK細胞)ががん化したもので、造血器腫瘍の83%を占め、主に中高齢に発生します。

リンパ腫の多くはリンパ節に発生しますが、腸管や皮膚などリンパ節以外に全身のあらゆる場所に発生することがあります。


症状について、初期は無症状か無痛性リンパ節腫大が見られますが、進行するにつれ、食欲不振、体重低下、嘔吐・下痢、多臓器不全が見られる場合があります。


診断には、細胞診、エコー検査、胸部X線検査、血液検査、病理組織診断(切除生検)や遺伝子クローナリティ検査等を行います。


全身に広がった腫瘍細胞に対する治療として化学療法が最もよく行われます。孤立性の局所病変の場合には、外科切除や放射線治療が適応となる場合があります。



ここで症例を紹介します。

症例:ミニチュアダックス、去勢オス、14歳、6.8kg

主訴:歩き方がおかしい、足が痛そう


身体検査:左肉球に黒色からピンク色に変色した病変を認めた

炎症性病変か腫瘍性病変かを見極めるため、針生検による院内細胞診検査を行いました。


細胞診検査:中型のリンパ球が多量に採取された

細胞診検査でリンパ腫の疑いがあったので、リンパ系腫瘍であるか否かを判定するべくさらに外注検査でリンパ球クローナリティ検査を行いました。


リンパ球クローナリティ検査:T細胞レセプターγ鎖遺伝子のクローン性再構成が認められた


レントゲン検査やエコー検査、血液検査では特に異常は認められませんでした。


診断:肉球のT細胞性リンパ腫(孤立性)


治療:放射線治療と化学療法を提案し、飼い主様のご希望の元、化学療法を行うことになりました。また、歯周病が重度であったため、化学療法前に感染源の除去として全身麻酔下でスケーリング、抜歯処置を行いました。


化学療法:L-CHOP療法(6か月間)

化学療法では、腫瘍細胞の薬剤耐性獲得を抑えるべく多剤併用で薬剤強度(時間当たりの薬剤濃度)を上げることが重要です。

特に、化学療法誘発性の好中球減少症が認められたリンパ腫の犬は、好中球減少症が認められなかった犬と比較して、寛解期間および生存期間が有意に長かったことが報告されています。


治療経過(治療開始1か月後):部分寛解


治療経過(治療開始3か月後):部分寛解、歩様改善


肉球のリンパ腫は稀であり、報告も少ないため、先が読みにくいですが、腫瘍細胞の薬剤感受性さえ低くなければ、今後は完全寛解を狙って、QOLを改善できるよう治療を継続する必要があります。


治療経過(治療開始6か月後):無事、比較的早期に完全寛解を得た後、維持しながら半年間のCHOP療法を終えました!

今後は再発がないことを祈るばかりです。


以上、犬の肉球のリンパ腫の紹介でした。

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埼玉県川口市のハーブ動物病院