こんにちは。
ハーブ動物病院です。
今回は小型犬で時折起こる橈尺骨遠位の骨折について紹介します。
術中写真が苦手な方は、注意して下さい。
橈尺骨とは
前腕の肘から手首までを構成する2本の骨(内側:橈骨、外側:尺骨)をいいます。
小型犬の骨折でも比較的多い橈尺骨の骨折は、さまざまな治療法があり、術後の合併症も起こり得る厄介な病気です。
小型犬では骨の周りの筋肉や皮下脂肪などの軟部組織が薄いため、血流量が多くありません。そのため、術後の回復に問題が生じ、骨折部位の癒合不全や骨萎縮など合併症が起こる可能性があり、手術方法の選択と術後管理には注意が必要です。
ここで、症例を紹介します。
症例:ヨーキー、2歳5ヵ月齢、避妊♀、4.7kg
主訴:左前肢の強い疼痛、完全挙上、跛行
x線検査:左側橈尺骨遠位で横骨折を認めた
治療法はいくつかありますが、飼い主様にそれぞれに利点・欠点をご理解頂いた上で、治療法を決定しました。
治療:ピンニング法+ギプス固定
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ピンニング法のみでは骨折部位の不安定性が懸念されるので、ギプス固定も併用し、1週間は安静、その後は徐々に自力歩行を再開させ、リハビリする必要があります。
x線検査(術後):尺骨も含め、骨折部位が整復されていることを確認
x線検査(術後12週):完全な骨癒合を認めた
術後14週目で抜ピンを行いました。念のためギプス固定を1-2週間継続します。
x線検査(術後14週):やや骨密度が低い部分を認めるが、全体的には順調に骨癒合している
今後は無事元の生活に戻れると思われます。
特に小型犬にとってソファは大敵です。
自由な飛び乗り降りはさせない方が無難でしょう。
以上です。