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執筆者の写真ハーブ動物病院スタッフ

マイクロブタの皮膚メラノーマ

こんにちは。

ハーブ動物病院です。


今回は、マイクロブタの皮膚メラノーマについて紹介します。


メラノーマとは

悪性黒色腫とも言い、皮膚のメラニン色素を作る色素細胞(ほくろ)の悪性腫瘍です。

報告(Melanoma-Bearing Libechov Minipig (MeLiM): The Unique Swine Model of Hereditary Metastatic Melanoma)によると、ブタの皮膚メラノーマの発生は黒豚がほとんどで、遺伝性であり、紫外線との関与はなく、出生直後から幼齢時に発生、悪性度は高く、肺やリンパ節への転移性を有するが、転移病変を含めて、腫瘍細胞に対する免疫応答によって腫瘍が自然退縮することがよくあり、同時に全身性に皮膚と毛の色素脱が起きるが、腫瘍が残存した場合には再増殖、進行して死に至るという特徴があります。

組織学的に腫瘍組織でのリンパ球浸潤は正の予後因子、血液学的に貧血、好中球の増加、血小板数の増加は負の予後因子と言われています。


ここで症例を紹介します。

症例:マイクロブタ(黒色)、3ヶ月齢、去勢♂、3kg

主訴:左肩の皮膚に黒色腫瘤が発生し、増大している

皮膚メラノーマを疑いのため、飼い主様希望で生検を兼ねた外科切除を実施しました。


治療:外科切除

黒色腫瘤を正常の皮膚組織を付けて、深部は筋膜を含めて一括切除しました。

術後は特に大きな問題はありませんでした。


病理組織検査:悪性黒色腫(完全切除、脈管内浸潤あり、小型リンパ球の重度浸潤)


脈管内浸潤が認められるため、一般的には転移を抑えるため化学療法が推奨されますが、幼齢であること、ブタでは有効な治療法の報告がないことからご希望されませんでした。


心配でしたが、その後は元気に過ごしており、やはり全身性に色素脱が起きて、肌がピンク色になったことから免疫応答が起きてくれたのかと推察しています。


以上です。

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